SR孫策(悪魔)×SR大喬(ver1)
蒼作
白への誕生日プレゼント
イチャイチャした話
夏の終わりの風が吹く。
暑い日差しに、柔らかくなってきた風。
一本の木の下で頭の後ろで腕を組んで木に凭れて眠る男と、その男の隣で静かに本を読む女。
青い空を白い雲が流れて行く。女が、本のページを捲る音と風が草木を騒がせる音が男の耳に届いている。
心地良かった。
幸せだった。
「なぁ、大喬――」
眼を閉じたまま、男が女の名前を紡ぐ。
「――なんですか?伯符様」
男―孫策に紡がれた己の名が何処かくすぐったくて、大喬は笑った。
視線は本に下ろしたまま。
「このまま、時間が止まればいいのにな」
孫策はゆっくりと瞳を開く。
木の葉の間から落ちる日の光に眩しそうに瞳を細め、その瞳で空を見た。
青い青い空。
何処までも続く空。
「そうですね。伯符様と何時までも一緒に居れるのならば、それも良いですね」
大喬はくすりと笑い、本から視線を上げ孫策の横顔を眺めた。
空を見つめる彼は、其処に何かを欲しているのだろうか。
それとも、その空が欲しいのだろうか。
いや、きっとどちらでもない。
ただ、この空の下で自分と一緒に居て出来れば眠りたいのだろう。
それが、自分の思い違いでない事を大喬は知っている。
「うん。大喬は、これからも一緒に居てくれるよな?」
まるで、大喬の胸中を読み取ったかのように孫策が言葉を続けた。
驚く事も無く、大喬は嬉しくて微笑んだ。
それから暫しの静けさ。
風が流れて行く。
雲が形を変えて行く。
「――大喬?」
答えを求めて、孫策は大喬を見やる。
すると、その先には優しく包み込む様な大喬の優しい優しい微笑み。
そして、孫策が振り向くのをただ優しく彼を見つめて待った大喬は、言った。
「この命、尽きるまで。お供いたします」
そうして、誓いの口づけを。
「っは――。大喬は、凄いな」
そっと大喬の頬を撫でて。
「何がですか?」
頬を撫でる手を、大喬は両手でそっと包む。
優しい温もり。
愛しくて、愛しくて。
「俺が欲する以上の、愛をくれる」
くつくつと喉を鳴らして孫策は笑う。
今、目の前に居るこの人は偉大だ。
「そうですか?」
くすくすと笑う大喬の声が孫策の耳を心を潤していく。
「お前じゃなきゃ、ダメなんだな」
「はい。私も貴男じゃないと、駄目なんです」
見つめ合い、そして笑い出して、額をくっつけて。
また、愛の口づけを――。
2008.09.15