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「仄甘い休日‏」
大神×シー

蒼作

初夏の平和な休日のお話



空は蒼く何処までも高い。鳥の鳴き声は清らかで、せせらぎの音は優しい。
風は穏やかだが、その中に夏の訪れを微かに感じた。
公園。
憩いを求めて人々が集っている。
遊ぶ子供、笑い合う親子、連れ添う恋人達。
そんな中、公園のベンチに一人久々の休日を静かに満喫しているのはこの土地では珍しい東洋人の大神一郎だった。
「あー、気持ちいい。癒されるなぁ」
今回の休日は皆の空いている予定を巧みにすり抜けたらしく、誰に誘われる事もなく実に平和な休日であった。
「でも、一人と言うのも余りに久し振りで何をしたらいいか」
苦笑を零しながら大神は空を見上げた。
午前中に掃除やら洗濯やら、やらねばならない用事は済ませてしまった。
持て余した暇を投げ捨てる気にはなれないのと、グラン・マに休め来るなと念を押されてしまっているので、シャノワールに行く事は出来ない。
「このまま昼寝っていうのも良いかもしれないけど…うーん、どうしたものか……」
顎に手を当て真剣に悩み出す大神。その姿は無駄に様になっている。
と大神は顔を上げベンチから立ち上がった。
「そうだな、勉強も兼ねて図書館にでも行ってみるか」
事が決まれば、早速と歩を踏み出した。
「あ!大神さぁ~ん」
そんな所で不意に名を呼ばれて足を止めた。そして、大神は周囲を見回す。
すると、視界に此方へと手を振りながら駆けてくるシーの姿が。
「シーくんじゃないか」
体を完全にシーの方へと向ければ、笑みを浮かべて大神も手を振り替えす。
「大神さ――きゃぁっ!?」
大神の目の前まで小走りで駆けてきたシーが躓いて姿勢を崩した。
それを慌てて大神が抱き留める。
「危ない!大丈夫か?シーくんっ」
「あっ!?え、えへへ。すみませぇん、大神さん」
少し頬を赤く染めながらシーが腕の中から大神を見上げる。
怪我はなさそうだと分かれば、大神は笑みを浮かべてシーを離した。
「気を付けないとね。今日はシーくんも休みなのかい?」
何時ものメイド服でなく私服のシーの姿に大神は小首を傾げる。
「はい、そうなんですぅ」
そう言いながらシーはくるりと回ってみせた。
スカートがふわりと広がる。
「で、近所の子供達にぃクッキーを焼いたんですけど、今日に限ってぇ皆で探検に行っちゃったんでぇすよぉ~、もうっ!」
ひどいですよねと頬を膨らませるシーは年より幼く見えて何だか可愛い。
「今日は、メルも花組の皆さんも忙しいし。しょうがないんでぇ、知り合いがいないかさがしてたんですぅ」
「そしたら、俺を見つけたってわけか」
「はいっ!」
大神がたはははと笑うと、シーは嬉しそうににっこりと笑った。
「大神さぁん、付き合ってくれますよねぇ?」
下からのぞき込むように見上げてくるシーに、大神は頬を掻く。断る理由もないので、大神は頷いて。
「あぁ、付き合わさせて貰うよ」
そうして大神は、取り敢えず先座っていたベンチに座ろうとシーを促した。
座ってから少しの間二人は静かに公園を眺める。
「気持ちいいですねぇ」
「あぁ、そうだね」
風がシーの髪を撫でて行き、大神の頬に触れて行く。
「あ、折角ですしクッキー食べません?大神さん」
言うが早いか、シーはバスケットを開けてクッキーを取り出した。
そして、笑顔でそれを大神へと差し出す。
「いいのかい?」
大神はシーの顔を見て訪ねたが、シーの笑顔でどうぞと頷く姿にじゃぁとクッキーを一枚手にとって一口。
「ん。流石シーくんっ、美味いなぁ」
「本当ですかぁっー、やった!ヒューヒュー」
嬉しそうに笑顔を浮かべるシーから更に一枚クッキーをもらいながら、大神はそのクッキーの味に満足そう。
「でも、流石にこれだけあるとぉ、二人じゃ無くなりませんよねぇ」
シーがどうしよっかなと首を傾げる。
じゃぁと幾つか二人で案を出してみる。
このままシャノワールに持って行く。明日にシャノワールに持って行く。今此処で配ってしまう。
どうにもしっくり来ない案に二人同時に首を傾げた後、大神がもう一つ案を出した。
「後は、そうだな。教会で配るとかかな?この時間なら、丁度子供達も居るだろうし、元々子供に上げる予定だったのならそれがいいかもしれないね?」
大神がもう一度首を傾げる。
シーも、顎に指を当ててうーんと悩み。
「それが良いかもしれないですねぇ。じゃっ、行ってみますぅ」
にこっと笑うとシーはじゃあ今からと立ち上がる。
それを追う様に大神も立ち上がった。
「俺も一緒に行くよ」
そうして、シーから優しくバスケットを受け取って歩き出す。
「え?いいんですかぁ!?」
慌ててシーはその後を追いかけて行く。
「さっき付き合って欲しいって言ってたじゃないか。それに、俺が提案したんだし、何よりこれからの予定は無いんだよ」
珍しく悪戯気に笑う大神は空いている手をシーへと差し出した。
「え?」
「さ、行こう?」
シーは少し周囲を見回してから、自分へと差し出されている大神の手を見て、ふわっと花のような大輪の笑顔を浮かべた。
そして、大神の手を握り更に腕を絡めると一緒に歩き始める。
「これって、デートみたいですねぇっ」
「で、デート!?」
繋ぐようにと手を差し出したくせに、今更狼狽して顔を赤くする大神に大神さんらしですね。何てシーは笑いながら声を掛けて、二人は歩いて行くのだった。
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