「LAST SONG」
R孫策(ver2)
※死にネタ
黄緑作
落書き付き
昔のUPしわすれたもの(2007年1月)
体が重い。指一つ動かすのも億劫だ。
それでも何とか手を動かして、やたらと熱く感じる腹部を撫でると、指先に暖かくヌルリとした水分のような何かが触れた気がした。
霞む目で指先を見ると、滴る赤。
あぁ、助からないなと他人事に思った。
死ぬには早い。
だが、俺が生きていたのはいつ死んでもおかしくは無いような道だったんだ。
ならばこれも、運命というのか。
(ここまで、か。)
諦めて、肺の中の息を全て吐くように深く溜息をついた。
俺が死んだらどうなるんだろう。
公瑾や、権や、配下の者たちはどうなってしまうのだろう。
あぁ、それに……
「大喬……」
自分でも笑えるくらい掠れた声で妻の名を呼んだ。
彼女は泣くだろうか。
分かれた剣を鞘に戻すようにと、俺の無事を祈って待っていてくれる妻は。
届かないと分かっていても、今も遠くで帰りを待ってくれているであろう彼女を思って、空に向かって手を伸ばした。PR
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