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「紫煙に影る月へ‏」
呉夫人

切ないお話
紫煙シリーズ②「紫煙の影に」をお先にどうぞ

蒼作


「紫煙に影る月へ‏」



月が、輝いていた。
天で、煌々と大地を淡く照らしだす。
どこか、暖かく優しい光。
それでいて雄々しく、力強い。
呉夫人は、煙管を燻らせながら、露台から天の月を見つめていた。


「風が、冷たいねぇ」
細く紫煙を吐き出してから、ぽつりと呟く。
己以外誰も居ない、その露台。
確か、自分の旦那が逝った日、上の息子と此処に居た。
今日は、その息子が逝った日。

「ったく、あたしより先に逝くなって言っただろう」

天に浮かぶ月に向かって、ぶっきら棒に。
煙管を吸って、深く吐いた。
その時丁度、風が吹いて吐いた紫煙が顔に掛かる。

「何てこったい、煙りが目に染みるよ」

目元を擦る。
ぽろり、ぽろりと小さな滴が零れ落ち露台の床に小さな小さな染みができた。

「可愛い嫁さん、独りにして。あたしが、頑張んなきゃねぇ」

手を下ろせば、何食わぬ顔で煙管を吸った。
月を見上げる。
紫煙を吐いた。天へと昇って行くのを静かに見つめた。

「ねぇ。あんた、策、孫呉は女がなかなかやるよ?」

言の葉が流れる。
月が一層輝きを増し、闇が静かに揺れた。
今回もまた、ただ静かに其処で朝を待つ。
今日の煙管は嫌に苦く、目に染みた。
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