「晴れた日にはお茶会」
新次郎
03[理由なんていりませんただ好きなんです]
黄緑作
新次郎
03[理由なんていりませんただ好きなんです]
黄緑作
晴れた日にはお茶会
「ねぇ、新次郎は昴さんのどういう所が好きなの?」
「あ、それ私も聞きたいです。」
ジェミニとダイアナさんとお茶をしていたら、いきなりそんな事を聞かれた。
二人とも、とても興味があるのか目を輝かせながら僕の解答を待っている。
「ど、どういう所って、言われても……。僕は、昴さんが昴さんだから……好きなんだけど。」
自分が思った事をそのまま伝えると、2人は揃って首を傾げた。
だって、面倒見がいいのに人をからかうのが好きな所とか。
中性的で神秘的なところとか。
優しい眼差しとか。
少しひんやりとした指先とか。
それらの昴さんを構成する一つ一つが全て愛しいのだから。
その事を拙いながらに何とか2人に伝えると、二人は顔を見合わせてから柔らかく笑った。
「うん。何となくだけど分かった。何か、新次郎らしいね。」
「そうですね。私も、昴さんが昴さんで、大河さんが大河さんだからお二人の事が好きですよ。」
優しく笑いかける2人に、僕も何だか温かい気持になってつられて笑った。
「ありがとう、ジェミニ。ダイアナさん。」
お礼を言ってから、一口お茶を口に含む。
ダイアナさん特製のハーブティーは、口の中で爽やかな香りと共に味が広がり、身体まで暖かく包んだ。
まるで今の心のように、暖かな気持ちが身体の隅々に広がる。
そんな、幸せの味がした。
[理由なんていりませんただ好きなんです]
「どういう所」だなんて言えない。
だって、感情は理屈じゃないんです。
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