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「いま、遠く離れてるアイツを思う」
大神

12[きみと共有するものは、空気とことばと、それともう一つ]

黄緑作


いま、遠く離れてるアイツを思う

 

 

(アイツは今、どうしてるかね……。)

ロベリアはそんな事を考えながら、ぼんやりと天井を見上げた。

刑務所の場所は前に入っていたような地下牢ではなく、他の囚人とは離れている位置とはいえ普通……というのも何か変な感じがするが、普通の牢になっている。

それに、拘束具もついていないし拘束着でもない。

今まで本物の悪魔や化け物を見るような目で見ていた刑務所の奴らも、態度が軟化している。

巴里華撃団であった事をずいぶんと評価されているようだ。

こんな状態なら、2年間なんて苦もなく過ぎていくだろう。

そう、思っていたのだが。

でも、今まで外の世界が騒がしく刺激的だっただけに、刑務所の中は単調で退屈だ。

それは、今自分がやらなくちゃいけない事だと分かっているが、どうしても余計な事を考えてしまう。

特に、巴里歌劇団と隊長の事とか。

他人の事を考えるだなんて、らしく無くていっそ笑える。

なのに、どうしても頭から離れない。

その中でも一番気になる奴の面影が頭をよぎった。

その面影は、消えるどころかどんどん頭の中で鮮明になり、鮮やかに映る。

(アタシがいないとホントに駄目な男だから、放っておけない。)

そんな言い訳じみた理由で心を誤魔化しながら、隊長を思う。

 

今、どうしているだろうか。

どうせ馬鹿みたいに正義だの何だの暑苦しい事言いながら元気にしてんだろうけど。

でも、できるなら。少しの間だけでも。

 

 

 

「「会いたい」」

 

 

ポツリと口から零れた声に、思わず大神は口を押さえた。

巴里から帝都に戻る際にロベリアから貰った彼女の写真を眺めていたら、会いたいと思う気持が強すぎてどうやら無意識に声に出てしまっていたようだ。

(参ったな、結構重症だ。)

まだ離れて数ヶ月しか経っていない。それなのにこの調子なら、先を思いやられる。

いつまでも待っていると約束したから、その心づもりは出来ている筈なのに。

これではロベリアに「アタシがいないと駄目な奴」と常々言われていたのに反論できない。

思わず苦笑していると、ドアをノックする音が聞こえた。

「大神さん、ちょっとよろしいですか?」

真剣味を帯びたさくらの声にドアを開けないまま「今行く」とだけ伝える。

大神は写真を机に戻すと、穏やかだった表情を華撃団隊長の表情へと変え、ドアを開けた。

「どうしたんだい?」

「米田中将がお呼びです。作戦司令室まで来て下さい。」

「分かった。」

短く告げて、颯爽と歩く。

 

振り返ってばかりは立場が許さない。ならばせめて、自分がやるべき事をやるまで。

今、遠い地で成すべき事をやっている彼女に恥じないように。

 

 

 

[きみと共有するものは、空気とことばと、それともう一つ]

 

 

どんなに遠く離れても。
互いを思う気持は、きっと同じ。

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