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「天へ」
大喬

~へシリーズ③
死にネタのお話

蒼作

「天へ」


朱い空が眼に映った。
何処までも、何処までも、天は高い。
大喬は、大地に倒れたまま、うっすらと笑った。
頑張れたと思う。頑張ったと思う。
大切な言葉を抱いて、大切な思い出を手にしたまま、前を向いて唯ひたすらに前へ。
あの人の代わりに戦い続けた。あの人の願いへと、この歩みが少しでも足しになれば。
いつか死ぬのは戦場だと思っていたが、どうやらその通りらしい。
朱い空に負けぬ程の赤い血が流れ落ちている。止まらなさそうだ。自分の事だ、分からぬはずもない。
苦しげに息を吐いた。震えている。
死ぬのは恐くない。
だって、あの人の傍へとやっと行けるのだ。 あの人に会える。
また、名前を呼んで貰える、笑って貰える、抱きしめて貰える。
涙が零れ落ちた。
頑張ったよね?頑張れたよね?
あの人に、笑顔で迎えて貰えるよね?
不安で身体が震えた。

「………は、くふ……様…――」
 
涙と共に流れ落ちる言の葉。大切な人の名前。今でも愛している人の名前。

――おう。すまねぇ、待たせたな。迎えにきたぜ。 

そっと抱きしめられた。
あぁ、迎えに来てくれた。大喬は、また涙を零す。 

――伯符様っ、伯符様っ! 大喬は、やっと会えた愛しい人の胸で泣く。

どれほどの時が経とうと忘れる事がなかった大切な人。

――あぁ、頑張ったな。お前は、ホント頑張った。ありがとな。 

髪を撫でて頬に触れて、抱きしめて、口付けて。
空は朱い。
大喬は、最後に静かに微笑んで。眼を閉じた。
大地と天がそれを静かに見届ける。

この戦は、呉の勝利で幕を閉る。尊い犠牲を代償にして。それでも、大喬の死に顔はとても美しかったと言う――。



2008.08.10

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