「桜色」
孫策×大喬
桜のお話
R孫策(虎)とUC大喬のイメージ
蒼作
孫策×大喬
桜のお話
R孫策(虎)とUC大喬のイメージ
蒼作
「桜色」
「大喬、付き合え」
ふと、そう声を掛けられ軽く小首を傾げるも笑みを浮かべて大喬は己が夫、孫策へと快く応じた。
揺れる身体。
心地良い風が頬を撫で、周囲の景色がゆっくりと変わって行く。
滑らかな動物特有の毛並みが気持ち良くて何度も撫でてしまう。
そして、なによりも安心できる温もりが直ぐ傍に。
甘える様にその温もりに凭れてから、 なにやら予想して居なかった状態に居る事を思い出して数度瞬いた。
何時もなら、庭辺りで用を済ましてしまう孫策だったが、今日は返事を返してからあれよあれよと言う間に馬での遠乗りになってしまっているのだ。
夫は自分を何処まで連れて行こうと言うのか。
取り敢えず、目的地は在る様なので、さして心配はしてはいないが。 「どうした?大喬」優しげな声が上から降ってきた。
大喬が不思議そうにしているのに気付いた様だ。
「いえ、伯符様は私を何処へ連れ去って行くつもりなのかと」
クスクスと笑いながら冗談を交えて大喬は孫策へと尋ねてみる。 「ん、もう少し待て。後少ししたら分かるさ」片手で大喬の髪を梳いて、悪戯っ子の様な笑みを浮かべる孫策に、大喬はもうっと頬を膨らませた。 そんな大喬を可愛い可愛いと言ってから、孫策は視線を上げて手綱を引く。馬が丘を上って行く。
「まぁ…――」
馬が丘を上がりきって、眼下に広がるのは桜色。
「どうだ、すげぇだろ?」
感嘆の声を上げる大喬に、どうだとばかりに孫策が胸を張る。
孫策は馬の腹を蹴り、歩みを再開させ丘を下りて行く。
桜吹雪の中を、孫策と大喬を乗せた馬がゆっくりと歩いて行く中、大喬はしきりに周囲を見回してその景色を堪能していた。
孫策はと言うと、景色も楽しんで居るがそれよりも、この景色を見て楽しんで居る大喬を見れて満足気味。
暫く桜の下を進んでから、孫策は馬の脚を止めた。
手綱から手を離し、孫策はひらりと馬から下りた。
そして、手を差し出して大喬をふわりと地に下ろす。
「ありがとうございます」
大喬は、ちょっと頬を染めて気恥ずかしい気に微笑んだ。
孫策はたいした事じゃないと笑う。
二人は馬を置いて、暫し桜の下を歩く。
風に舞い踊る花びらが美しかった。
大喬は花びらを追って軽く駆ける。
「へっ、まるで舞っているみたいだな」
花びらを追う大喬を見て、孫策はそう呟いた。
あぁ、愛しくてたまらない。
「伯符様ー」
いつの間にか離れてしまった距離。
遠くから大喬が、伯符へと手を振っている。
桜色の中。
それ以上に色付いて見える、愛しい人。
孫策は、思わず頬を染めたが何事も無い様に大喬へと手を振り返す。
離れて居て良かった。桜色の中に居て良かった。
染まった顔に気付かれないから。
きっと大喬なら、それを知ると喜ぶのだろうが。
ダメだ。少々格好悪い。
ガシガシと頭を掻いてから、孫策は大喬へと向かい歩き出す。
彼女の傍に行く頃には赤らんだ顔も戻っているはずだ。
「気に入ったか?」
大喬の髪に付いた桜の花びらを一枚取って問う。
「はいっ!とても、素敵です」
大喬は満面の笑みを浮かべて。
「そりゃぁ、良かった」
そう言って、桜の木の下で口接けを――。
2007.04.14
「大喬、付き合え」
ふと、そう声を掛けられ軽く小首を傾げるも笑みを浮かべて大喬は己が夫、孫策へと快く応じた。
揺れる身体。
心地良い風が頬を撫で、周囲の景色がゆっくりと変わって行く。
滑らかな動物特有の毛並みが気持ち良くて何度も撫でてしまう。
そして、なによりも安心できる温もりが直ぐ傍に。
甘える様にその温もりに凭れてから、 なにやら予想して居なかった状態に居る事を思い出して数度瞬いた。
何時もなら、庭辺りで用を済ましてしまう孫策だったが、今日は返事を返してからあれよあれよと言う間に馬での遠乗りになってしまっているのだ。
夫は自分を何処まで連れて行こうと言うのか。
取り敢えず、目的地は在る様なので、さして心配はしてはいないが。 「どうした?大喬」優しげな声が上から降ってきた。
大喬が不思議そうにしているのに気付いた様だ。
「いえ、伯符様は私を何処へ連れ去って行くつもりなのかと」
クスクスと笑いながら冗談を交えて大喬は孫策へと尋ねてみる。 「ん、もう少し待て。後少ししたら分かるさ」片手で大喬の髪を梳いて、悪戯っ子の様な笑みを浮かべる孫策に、大喬はもうっと頬を膨らませた。 そんな大喬を可愛い可愛いと言ってから、孫策は視線を上げて手綱を引く。馬が丘を上って行く。
「まぁ…――」
馬が丘を上がりきって、眼下に広がるのは桜色。
「どうだ、すげぇだろ?」
感嘆の声を上げる大喬に、どうだとばかりに孫策が胸を張る。
孫策は馬の腹を蹴り、歩みを再開させ丘を下りて行く。
桜吹雪の中を、孫策と大喬を乗せた馬がゆっくりと歩いて行く中、大喬はしきりに周囲を見回してその景色を堪能していた。
孫策はと言うと、景色も楽しんで居るがそれよりも、この景色を見て楽しんで居る大喬を見れて満足気味。
暫く桜の下を進んでから、孫策は馬の脚を止めた。
手綱から手を離し、孫策はひらりと馬から下りた。
そして、手を差し出して大喬をふわりと地に下ろす。
「ありがとうございます」
大喬は、ちょっと頬を染めて気恥ずかしい気に微笑んだ。
孫策はたいした事じゃないと笑う。
二人は馬を置いて、暫し桜の下を歩く。
風に舞い踊る花びらが美しかった。
大喬は花びらを追って軽く駆ける。
「へっ、まるで舞っているみたいだな」
花びらを追う大喬を見て、孫策はそう呟いた。
あぁ、愛しくてたまらない。
「伯符様ー」
いつの間にか離れてしまった距離。
遠くから大喬が、伯符へと手を振っている。
桜色の中。
それ以上に色付いて見える、愛しい人。
孫策は、思わず頬を染めたが何事も無い様に大喬へと手を振り返す。
離れて居て良かった。桜色の中に居て良かった。
染まった顔に気付かれないから。
きっと大喬なら、それを知ると喜ぶのだろうが。
ダメだ。少々格好悪い。
ガシガシと頭を掻いてから、孫策は大喬へと向かい歩き出す。
彼女の傍に行く頃には赤らんだ顔も戻っているはずだ。
「気に入ったか?」
大喬の髪に付いた桜の花びらを一枚取って問う。
「はいっ!とても、素敵です」
大喬は満面の笑みを浮かべて。
「そりゃぁ、良かった」
そう言って、桜の木の下で口接けを――。
2007.04.14
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