「掲げるは剣」
孫策+周瑜
戦闘のお話
イメージはSR孫策とSR周瑜
蒼作
孫策+周瑜
戦闘のお話
イメージはSR孫策とSR周瑜
蒼作
「掲げるは剣」
ドドドド―――。
地響きの様に戦場に響き渡る地を踏み割る音。
鋼どうしが激しく打ち合い、小さな火花が散る。
矢が空を裂き、怒声が天を震わす。
そんな中。
一騎の馬が敵陣へと突っ込んで行く。
「邪魔だぁ!死にたいヤツから掛かってこい!」
吼え立てながら、馬を巧に操り一人、また一人と群がり来る雑兵を蹴散らして行く姿は雄々しかった。
「呉が大将!孫策殿とお見受け致す!」
雑兵の中から踊り出た一騎。兵が割れ、空間が出来る。
「いざ!尋常にっ、勝負!」
馬が地を蹴った。
武器を構えた敵将が迫って来る。
一騎打ち。
「その心意気っ、買った!」
孫策も、馬の腹を蹴りつけ大地を駆けた。
『おおぉっ――!』
二人の将の声が重なり轟く。
二人を囲った兵達が息を飲んだ。
ガキィン――ッ!!
振り上げた刃と刃がかち合い、火花を散らした。
交差し離れ、またぶつかり合う。
相手の出方を伺う様に、時には牽制しあいながら、激しい打ち合いが続く。
ふと、競り合いに負けたのか孫策の剣が僅か下を向く。
その隙を見逃さず、敵将が刃を振り上げ打ち下ろす。
ギャリ――ィ!
鋼が擦れる音が。
敵将は驚愕した。
まさか、仕留めたと思った絶好の一撃が兜で受け流されるとは。
この男に、恐れは無いのか。
そこで、思考は止まった。
もう二度と戻らぬが。
「フンっ、甘ぇぜ!」
孫策は獰猛に笑って、わざと下げた切っ先を素早く振り上げ、敵将を斬り倒す。
声も無く敵将は討たれ、馬から落ちた。
「敵将!討ち取ったりぃ!」
孫策は剣を高々と掲げ勝ちどきの声を上げた。
そして、我に返る兵士達。
一瞬の静寂後、逃げ出す者と果敢にも悪魔へと挑み来る者とに兵士達が別れた。
孫策は馬の首を巡らして、囲われた兵の中から抜け出し、挑み来る兵士達の正面へと回り込む。
剣が、一人二人と敵兵を斬りふせ。
ふと、ブレる様に孫策の馬が走りだし大きく跳躍した。
それに合わせるように静かな声が響き渡る。
「灰燼ときさしめよ!」
ゴゥ―――!
赤い火柱が大地を走り行く。
そして、孫策と対峙していた大半の兵を飲み込んで行く。
逃げる事も叶わず、敵兵は真っ赤な炎に舐め尽くされた。
「ヒュゥッ!流石、良いタイミングだぜぇ、公瑾」
「大将が、突っ込み過ぎだ。無茶も程々にしろ」
炎を放った周瑜が溜め息と共に孫策の側へとやって来た。
味方兵もその後に続いている。
「何言ってやがる。俺の背はお前が守ってくれるんだろ?頼りにしてるぜぇ」
そうして、孫策は手綱を引いた。馬がいななく。
「まったく…」
言っても無駄だとばかりに、周瑜はもう一度溜め息を吐いて自らも手綱を引いた。
「行っくぜぇ!」
孫策が風の様に駆け出した。
「全軍!前へっ!」
そうして、周瑜もその後を追って。
まだ、戦は始まったばかり。
2007.05.06
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