04[誰にもいえない、こんなことは。そう、あなたにも]
大神
蒼作
大神
蒼作
青い空。白い雲。さんさんと輝く太陽。
そんな陽気の午後は何もする事が無くて、じゃあ中庭で昼寝でもしようか。なんて話になって。
木陰の芝生の上に横になって他愛のない会話を交わしているうちに、何時しか眠ってしまった二人。
そして、男は夢を見た。
暗がりから現れ、初めての微笑みと初めて会話を交わした日。
額を優しく小突かれた日。あの人と過ごした色々な日が夢となって訪れる。
そうして、あの赤き月の日。
自分が手をくだしたあの日。
その日、あの人は帰らぬ人となった。
声にならぬ、顔にだせぬ叫びが心を蝕む。思いが震える。
もう取り戻せないあの日々。二度とあんな事がないようにと、心に戒めて過ごして来た。
だが、何度も何度も襲うその悪夢。
叫びが口を割ろうとしたその時。
「隊長っ!」
聞き慣れた愛しい声音に、ハッと意識を取り戻す。夢から、醒めた。
「隊長、大丈夫?凄くうなされてたけど……」
心配そうに見下ろしてくる彼女の表情を眩しげに大神は見つめた。
無意識に彼女の銀糸へと手を伸ばす。
「隊長?」
レニはくすぐたっげに瞳を細める。
「ん、なんでもないよ。ちょっと海軍時代扱かれた夢を見ちゃってね。こんな陽気の日は、ちょっとサボったりしちゃったから」
悪戯っぽく笑って片目を閉じてみせてから、大神はレニの頬を愛しげに撫でる。
そんな大神に、少し納得がいっていないような表情を浮かべるも、それ以上何も言わずレニは小さく微笑んだ。
そうして、大神ももう一度笑ってみせた。
[誰にもいえない、こんなことは。そう、あなたにも]
そんな陽気の午後は何もする事が無くて、じゃあ中庭で昼寝でもしようか。なんて話になって。
木陰の芝生の上に横になって他愛のない会話を交わしているうちに、何時しか眠ってしまった二人。
そして、男は夢を見た。
暗がりから現れ、初めての微笑みと初めて会話を交わした日。
額を優しく小突かれた日。あの人と過ごした色々な日が夢となって訪れる。
そうして、あの赤き月の日。
自分が手をくだしたあの日。
その日、あの人は帰らぬ人となった。
声にならぬ、顔にだせぬ叫びが心を蝕む。思いが震える。
もう取り戻せないあの日々。二度とあんな事がないようにと、心に戒めて過ごして来た。
だが、何度も何度も襲うその悪夢。
叫びが口を割ろうとしたその時。
「隊長っ!」
聞き慣れた愛しい声音に、ハッと意識を取り戻す。夢から、醒めた。
「隊長、大丈夫?凄くうなされてたけど……」
心配そうに見下ろしてくる彼女の表情を眩しげに大神は見つめた。
無意識に彼女の銀糸へと手を伸ばす。
「隊長?」
レニはくすぐたっげに瞳を細める。
「ん、なんでもないよ。ちょっと海軍時代扱かれた夢を見ちゃってね。こんな陽気の日は、ちょっとサボったりしちゃったから」
悪戯っぽく笑って片目を閉じてみせてから、大神はレニの頬を愛しげに撫でる。
そんな大神に、少し納得がいっていないような表情を浮かべるも、それ以上何も言わずレニは小さく微笑んだ。
そうして、大神ももう一度笑ってみせた。
[誰にもいえない、こんなことは。そう、あなたにも]
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